向田邦子さん「阿修羅のごとく」作品紹介と感想 今でも色褪せることのない魅力を紹介します

向田邦子の阿修羅のごとく 昭和関連

※当サイトは、アフィリエイト広告を利用しています。

静原スズカのまったりブログをご覧いただきありがとうございます。

今回は向田邦子さんの作品「阿修羅のごとく」の感想や印象に残った場面をご紹介します。

没後40年以上経った今でも、色褪せることのない向田邦子さんの魅力。

私が大好きな作家さんのうちの一人です!

簡単な作品紹介もしていますので、まだ読んだことがないよーという方も読むきっかけになれればうれしいです。

※ネタバレも含む部分もあるので、ご注意ください。

また読んだことがある方も、「そうそう、自分も同じ感想を思っていた~!」と共感していただければうれしいです。

ぜひ最後までお読みください。

スポンサーリンク

阿修羅のごとくの簡単な作品紹介

 

作品名:阿修羅のごとく

 

著者名;向田邦子

 

出版社:株式会社文藝春秋

 

出版年:1999年1月 第1刷

 

ページ数:413(解説含む)

もともとは1979年と1980年にNHKで放送された、向田邦子さん脚本のドラマが最初でした。

その脚本を文庫化したのが、今回ご紹介する阿修羅のごとくです。

簡単なあらすじは、年老いた父に、小学生の男の子がいる愛人がいることがわかって、何とか母にバレないようにと奔走する四人姉妹を描いています。

人間の弱さや妬み、憎しみや愚かさを描きながらも、どこかクスッと笑える作品です。

なぜこの本を読んだのか?きっかけは

私・静原スズカは向田邦子さんの作品が大好きで、エッセイを含めて本をよく読んでいたためです。

阿修羅のごとくは、2022年にNHKプレミアムで再放送がされていました。

最初は放送していたのを知らなかったので、パート1は見られませんでした(また再放送やってほしい〜!)。

パート2は録画をして今でも繰り返し見るほど、すっかりハマってしまいました。

ドラマで演じた役者のみなさんの迫力や色気に深く感動するほど、素晴らしい作品です。

本の方はより向田邦子さんの表現が細部まで描かれていて、より深くハマることができました。

ドラマ版のDVDも販売されています。

主な登場人物への考察

主な登場人物の、私なりに思った考察をご紹介します。

紹介するのは

・巻子(次女)

・綱子(長女)

・滝子(三女)

・咲子(四女)

・恒太郎(父)

の5人です。

巻子

おっとりとしていて、姉妹や家族の中でも置いてけぼりにされている印象です。

思春期の息子と娘がいるので仕方がないのかもしれませんが…

母のふじとは同じ道を辿っていて、姉妹の中でも一番似ているのが巻子だと感じました。

娘の洋子もまた、同じ道を辿っていくんだろうなと思わせる表現もあります。

しかし、ラストで夫の鷹男に対する発言や、父の恒太郎に食ってかかる場面では気の強さが伝わってきました。

綱子

奔放な印象ですが、生け花の先生として生計を立てていて、現代にも通じる自立した女性という感じです。

私は綱子に対しては、あまり共感できない部分の方が多いです。

しかし底知れぬ寂しさを持っていて、幸せになってほしいと思いました。

滝子

この本の中で一番好きな登場人物が、滝子です。

そしてぶっきらぼうだが両親思いだなと感じました。

作中「花いくさ」でのメイクシーンでは、綺麗ですが滑稽さがあります(ドラマのいしだあゆみさん、美しいです!)

恋人の勝又とともに、一服の清涼剤で癒される存在です。

咲子

四姉妹の中ではチャラく見えるが、恋人の陣内を献身的に支えたり、義母のまきを気遣ったりと優しさが垣間見えました。

今後が一番心配なのが咲子でした。

向田邦子さんが続編を書いたとしたら、どのようになるのか気になるうちの一人です。

恒太郎

ドラマで演じた佐分利信さんの色気が半端なかったです!

すっかりファンになってしまいました(笑)

口数は少ないですが、娘たちへの優しさや愛を感じられます。

浮気をしたのは許せません…妻のふじが可哀想です。

しかし恒太郎が浮気をしないと「阿修羅のごとく」という作品は始まらないので、仕方ないということにします。(怒)

印象に残った場面3つ紹介

阿修羅のごとくはどの場面も余すことなく素晴らしく、絞るのは難しかったですが、3つ印象に残った場面をご紹介します。

・病院で巻子が恒太郎に食ってかかった場面

・巻子・綱子・滝子と勝又の4人で、すき焼きを食べる場面

・咲子が宅間に脅されたが、滝子が思いもよらぬ行動をとった場面

病院で巻子が恒太郎に食ってかかった場面

本の169ページからの場面です。

おっとりとしている巻子のイメージを覆しました。

母ふじへの思いと、自分が置かれている状況を重ね合わせているようにも感じます。

悔しさややりきれなさ、怒りが伝わり、読み手もドキドキするほど迫力のある描写です。

巻子・綱子・滝子と勝又の4人で、すき焼きを食べる場面

313ページの後ろから2行目から始まる場面です。

間髪を入れずに止まらない姉妹の会話が、たいへん見どころを感じます。

一見バラバラで関係ないと思われるセリフの数々が、伏線として最後にワッと回収されるところが、向田邦子さんの真骨頂です。

向田邦子さんのエッセイにも通じる描き方で、私はすっかりとハマってしまいました。

咲子が宅間に脅されたが、滝子が思いもよらぬ行動をとった場面

395ページの14行目から始まる場面です。

滝子と咲子は子どもの頃から三女と四女ということでいがみ合っていました。

しかし姉の滝子の、妹咲子に対する思いや愛のようなものが感じられます。

滝子の勇気に好感が持てて、ますます好きになりました。

本当の阿修羅は人間一人ひとりではないか?と考えさせられた作品です

今回は向田邦子さんのテレビドラマを基にした作品、阿修羅のごとくの印象に残った場面や感想を紹介しました。

作中では「女は阿修羅だ」と鷹男が言っていました。

しかし私は女の人だけでなく、男の人も、大人も子どももお年寄りも全員が「阿修羅なのではないか」と思いました。

表もあれば裏もあるし、影もある…強さや弱さもあって、それでみんな生きているんだなと考えさせられました。

この記事を読んで、「自分は阿修羅のごとくを読んでこういう風に感じました」などなど。

みなさんもまた作品を読み返すきっかけになったり、コメントをお寄せいただければうれしいです!

私も阿修羅のごとくを読み返していますが、いまだに謎に思う描写もたくさんあります。

向田邦子さんの作品の魅力は色褪せないですね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

おわり

こちらの記事も読まれています!

向田邦子さんの直木賞受賞作品も収録された「想い出トランプ」

向田邦子さん「思い出トランプ」あらすじ紹介と感想~かわうそ 犬小屋など
静原スズカのまったりブログをご覧いただきありがとうございます。本日は、現在でも多くの人に愛されている作家 向田邦子さんの短編小説集「思い出トランプ」のあらすじと感想をご紹介します。この「思い出トランプ」は、何といっても19...

向田邦子さんのエッセイ「父の詫び状」

読書感想~「父の詫び状」向田邦子さんの原点や、昭和の暮らしを知ることができる作品~
みなさんこんばんは!静原スズカです。すっかり秋も深まり、読書が進む季節になってきました。本日は、僕が尊敬して止まない作家 向田邦子さんの作品、「父の詫び状」の作品紹介や、特に印象に残ったお話と感想についてご紹介いたします!...

コメント

タイトルとURLをコピーしました